はじめに
この記事はFediverse (4) Advent Calendar 2024 の10日目の記事です
以前、ひとりサーバをやってみたいが建て方の記事ばかりで、メリット/デメリットや感想について書いた記事がない、という趣旨の投稿 がHTL(ホームタイムライン。フォローしているアカウントの投稿やフォローしているアカウントに拡散された投稿が見れる場所のこと)に流れてきた。確かにウェブログの記事としては建て方の記事だけ作成し、それ以外の感想などはまとめて書いたことがないということに気づいた。元投稿からは少し時間が経ってしまったが、アドベントカレンダーにかこつけて、これまでひとりサーバで遊んできた所感を書いてみようと思う。
そもそもどうしてひとりサーバ?
端的にいうと、アナキストだったからです。
さらにいうと、元いたサーバの運営方針が筆者には合わなかった。楽しいSNSを運営しようという志は素晴らしいが、ユーザが扱う話題を制限しようとお願いされるのはごめんだ。なら他のサーバに引っ越ししては? でも今そのサーバ管理者と意見があってもすべてが受け入れられるという可能性は低いし、他の管理者に交代する可能性(イーロン!)だってある。自分の主人は自分がやるのが一番だ!というわけで、VPS(仮想専用サーバ、MastodonやMisskeyなどのソフトウェアはここで動かしてWebに公開する)を借りて、Akkoma(Fediverse対応のソフトウェアのひとつ。比較的軽量でカスタム絵文字リアクションに対応しているのが特徴)でひとりサーバ(管理者以外にユーザのいないインスタンスのこと)を立てることとなった。
さて、この結論を導けたのはたまたま当時のFF(フォロイーにしてフォロワー、つまり相互フォローのアカウントのこと)にひとりサーバもちの方がいたからである。この方がいなかったら、今のサーバの管理者は気に入らないけど他のサーバを探すのも大変だしFediverses自体をやめてしまおうか、という結末もあっただろう。筆者がこの記事を公開するのも、同じように今いるサーバを飛び出したい人に自分のためのサーバを建てるという選択肢を提示し後押しできたら良いなと思うからである。
ひとりサーバのメリット
上記のように、既存の管理者の作ったルールや思想に従わなくてもいい自由があるということが筆者にとっては最大のメリットだった。また、自分のドメイン(Web上の住所のようなもの。ドメインは唯一無二のものでありある種の自己証明にもなる)で発信でき、蓄積された投稿は自分で管理できる、というのも筆者個人の思想に適合していて快適である。
もっと卑近なメリットを挙げると、カスタム絵文字を自由に登録できることもある。手書き文字やネットミームの絵文字など、大きなサーバにいては登録してもらうことは難しいであろうものも自分で管理しているのであれば登録し放題・使い放題だ。またリレーサーバ(サーバの投稿を他のリレー登録サーバに配信してくれるサーバのこと、これによって他のサーバのグローバルタイムラインなどに自分のサーバの投稿を表示させることができる)に加入したり、このサーバの画像だけは受け取らないようにしよう、などという設定も自分一人の判断で行える。カスタマイズ好きの人にはひとりサーバは楽しいのではないだろうか。
ひとりサーバのデメリット
お金がかかる
無料に近い運営もできるが、少なくともドメインを保有するのには多少の金銭が必要である。またVPSを借りるとさらに月額で費用が掛かってくる。ホスティングサービスも有料だ。こればかりはどうしようもない。できるだけ安価なVPSにするために軽量のソフトウェアを選んだり、安価なgTLD(ドメインを取得する際には取得価格と更新価格が違う場合があるので注意!)を選定するほかないだろう。
バグや間違った仕様を踏んでしまった際に対処が難しい
自由には責任が伴う。それは発言の内容だけでなく、自分が管理しているサーバについてもそうだ。どうか、スパムやその他の悪意の踏み台にならないようにセキュリティ対策をしっかりしよう。セキュリティアップデートはできるだけ早く適用したい。ひとりサーバであれば、アカウント作成はできないように設定を確認しよう。 しかし、時折自分が対策していても対処しきれないバグや間違った仕様がソフトウェアに潜んでいることがある。プログラミングやセキュリティに詳しい人であれば自分でパッチを書いて対処できるかもしれないが、筆者はそのようなスキルに乏しいため、ソフトウェア作成者の修正を待つことしかできなかった。(間違った仕様で発生した異常アクセスで他サーバの管理者の方からお叱りの言葉をいただいたこともある。その節は申し訳ありませんでした。)
自分が建てたサーバと同じソフトウェアを使っている管理者と繋がっておくと対処法や修正の情報が早く入っていいように思う。連帯しよう。
おわりに
思いつくままにひとりサーバをやってきた感想などを書き連ねてみた。そして気づいたのが、案外、ひとりサーバであることを自分でも意識することがあまりないのではないかということだ。サーバ管理として各種アップデート対応や設定などは時折行っているが、それ以外でひとりサーバを使っているという意識はあまりない。もしあなたがLTL(ローカルタイムライン、所属しているサーバの全ての投稿がみれる場所のこと)ではなく、HTLをメインに使っているのであれば、案外スムーズにひとりサーバに移行できるのではないだろうか。
少しでもひとりサーバに興味があって、財布の紐が許せるのであれば、ぜひサーバを建てることを検討してみて欲しい。そして自由で楽しいFediverse生活を送ろう。